お風呂コーティングで施工不良も多いのは何故?

2017/11/19

施工不良と言う言葉の響きは我々施工業者にとって非常に耳の痛い話です。創業当時は新規の管理会社様に”コーティングはすぐに剥がれるのでは無いの?”とネガティブなお言葉を良く頂戴しました。コーティングを本職にしているリプロにとっては気分を害する言葉ですが、発注される管理会社様も賃貸オーナー様の信用を無くす可能性の工法は使いたく無いのが当たり前です。今回は我々浴室コーティングを本業としている者の目から検証してみたいと思います。

お風呂コーティングの施工不良は何故起こるのか

  • 一番の原因は下地処理の手抜き
  • プライマー(バインダー)を信用し過ぎ
  • 脱脂が十分ではない
  • 作業員の技術が悪い
  • 根本的に塗料が悪いか硬化剤の入れ過ぎ
  • 塗膜が厚くなってブリスターが起こる

最初に結論を列記してみました。参考事例はこの後に書いております。そのままお読み下さい。

ユニットバスのコーティングの施工不良事例

お風呂リフォームにおけるコーティングでの施工不良、つまり、塗装の剥がれが何故起こるのかについて検証してみます。今回も今週末にマンションオーナー様からの依頼で6年ほど前にユニットバスの床と浴槽をコーティングしたのですが、剥がれているのでどうしたら良いか問い合わせがあり、現地の大阪市の城東区まで行ってきました。築年数が24年の賃貸マンションです。

お風呂コーティングの施工不良の起きているマンション

早速、2階のお部屋に入って見ると、浴室内は塗装(コーティング)の剥がれだらけです。それもかなり重傷のようです。写真でお見せします。

浴室コーティングの施工不良例(床と浴槽)
浴槽と床の部分です。

壁のところと色が変わっているので解りやすいと思います。床と浴槽のいたるところに塗装の剥がれがあります。床の詳細を写真でお見せします。

 

お風呂コーティングの床の施工不良例
床はもうボロボロの状態です。

 

オーナー様に聞けば6年前に管理会社様の紹介でお風呂のコーティングを老朽化したユニットバスに採用したそうです。最初は奇麗で喜んでいたらしいのですが、入居者様が退去して驚いたそうです。僕もオーナー様にコーティングの良し悪しは施工後はほとんど解りません。時間が経てばその違いは歴然としてきます。と答えましたが、オーナー様も管理会社に勧められて採用しましたが管理会社自体も業者の良し悪しは解らなかったとのことで、業者を選ぶことの難しさが浮き彫りになった気がしました。もちろん、この施工業者は倒産して今は連絡の取りようが無いとのことでした。たぶん、施工不良の状態からして施工後1年以内に剥がれていると思われます。クレームがかなりあって会社を潰したのでは無いかと思われます。

サブタイトルのコーティングの剥がれは何故起こるかを検証してみます。

 

一番の原因は下地処理の手抜き

浴室のコーティングを施工する前には必ず浴室内を洗浄して、その後に塗装下地に粗めをつけていきます。我々はサンディングと呼ぶのですが、これがしっかりと行われていないとコーティング塗装の剥がれになります。要は塗料との接着表面積を増やします。今回の事例のユニットバスの床の滑り止めの溝当たりに剥離が多いのでしっかりと下地処理が行われておらずに剥離した可能性もあります。

 

プライマー(バインダー)を信用し過ぎ

これは浴室のコーティングにお施工中のチェックをしていませんので、何とも言えませんが、今回の事例ではプライマーを下地処理に使用している可能性が大です。なぜなら、粗めをつけて吹き付けをしているならばこれだけの大きな面積の剥離はなかなか起こりえません。我々、コーティング業者は作業日数イコール人工、つまり原価の一部分なので作業日数を短縮する為にプライマーを使う業者も多いです。なぜならば浴室全体に粗めをつけるのは半日仕事です。プライマーなら1時間かかりません。プライマー自体は塗料と下地との食い付きを良くする為の物ですが、100%信用すると失敗の元になります。プラーマーと言えども塗料ですので軽く粗めをつける方がこれもコーティングと同じで食い付きは良くなります。それと、プライマーを信用するあまりに失敗するのが事項のお風呂の油分です。

 

脱脂が十分ではない

これがお風呂のコーティングにとっての大敵です。浴室内は体を洗う為に石けんかすが多いことです。それは、施工不良の例でも解るように床や腰壁下が剥がれていることが多いのは石けんかすが原因です。コーティング塗装の基本として施工前の粗めをつける前に浴室内を脱脂剤を使って、徹底的に洗浄します。これは基本中の基本です。もちろん、次の工程の粗めをつける段階のサンディングでも落とせます。2重に脱脂をするわけです。今回の事例ではこの原因も大です。

 

作業員の技術が悪い

このことは下地処理の工程も含めて丁寧な仕事ができておらず、チェック機能が不十分だと言うことです。もちろん吹き付けの技術や仕上げのポリッシャーの使い方もありますが、これ自体は剥離の原因にはなり得ません。薄吹きや厚吹き(塗膜を10ミリもの厚さには吹きませんので)が剥離の原因にはなりにくいです。要は作業員が丁寧な仕事をしているかです。言い換えれば密室の中で孤独と戦いながら何時間も耐えれるか、変な言い方ですが根気が無い作業員は使えません。それと大事なのは熟練者かどうかもポイントです。某フランチャイズの元ではたった3日間の研修で認定という馬鹿げたところも多いです。つい最近でも染料系の有名な塗料メーカーが全国に施工ステーション126カ所を設けたと住宅フェアで出展されていましたが現在はほぼ消えています。研修方法に興味があったので聞いて見るとやはり東京で3日間の研修でした。質問で3日で学べますかと聞けば、その後はお客様の仕事で覚えれます。と驚く様な答えが返ってきました。お客様は被害者ですね。リプロの新人研修は1年から1年半。そして、社内認定試験ですよ。それだけ、慣れて一定の施工品質を確保するのは難しい仕事です。

根本的に塗料が悪いか速乾剤の入れ過ぎ

塗料はお風呂用のアクリルウレタン樹脂系の塗料が最適です。堅くて弾性がありますのでひび割れが起こりにくいです。僕も沢山の他社の施工不良のお風呂を見てきましたがコンプレッサーで吹き付けているのに明らかに塗料が悪い物も見受けられます。多分、日本では3社ほど、外国製で日本に入っているフランチャイズの2社ほどです。もちろん、一般には施工不良と見られている中で素人仕事のようなDIY用品の店舗で買ったお風呂用水性カラーを使用したとんでもない物もありますが、論外なので省きます。別の施工不良写真をお見せします。前期の一覧でも修正しましたが最近では浴室コーティングの塗料についてはどのメーカーも品質の悪い者はありませんでした。ここ最近、他社2社の塗料も使って実験、検証しております。(2017年10月時点)

お風呂コーティングの壁の施工不良の写真
右側の壁が大量に剥がれています。

 

この施工不良例は明らかに塗料が悪い例でした。さわればぽろぽろとどんどん剥離していきますし、塗膜も非常に薄いものでした。剥離手間が大変でした。この塗料の上から吹き付けるのは再剥離の元なので完全に落としてしまいます。お客様には高価につきます。

参考記事



それと、速乾剤の入れ過ぎも塗料自体の食い付きの強度を落とします。先ほどのプライマーで工期短縮の件を書きましたが、これも原因かも知れません。そもそも、我々の塗料は2液性といって主剤に硬化剤を入れると硬化して乾くようになっています。これに速乾剤を大量にいれて硬化時間を短縮するコストダウン方法ですが塗料は本来の硬化時間と言う物があり無理に硬化させるのはマイナス要因が多すぎます。リプロの塗料は8時間で硬化します。夕方までに吹き付ければ、明日の朝には硬化しています。完全硬化は3日間です。業者によっては硬化剤を大量に入れて1時間とかで硬化させる業者もいるようです。塗装時にエアガンのタンク内で硬化が始まり、もちろん吹き付け面に行くまでの空気中で硬化してしまいます。はがれの元になります。

塗膜が厚くなってブリスターが起こる

2017年7月から浴室コーティングの吹き付け塗装のコンプレッサーに関して、従来から西ドイツ製の低圧温風の物を使用してきましたが、高圧のコンプレッサーも併用して使用しております。高圧のコンプレッサーは自動車の塗装で使用されている物です。詳しいことは後日、書きますが、高圧に比べて低圧は塗膜が厚く(もちろん、ユニットバスのバスタブや床、壁の細かい傷はほぼ、隠れます。が、高圧は塗膜が薄いためにそのまま、出てしまいます。しかし、長所もあります。バスタブの底の隅など高圧で吹付けるため塗膜が厚くなりすぎずに施工できるのでブリスター(塗膜内に空気が入りのちに温度の変化等で膨らみ塗膜を破る事)が起こる確率が減る事です。低圧ですと起こりがちな事も少ないように思います。

 

どうすればコーティング施工業者を良いか悪いかを見分けれるか

ここが一番難しいところです。良いコーティングの職人さんや良い業者は沢山います。僕も何社かとは交流をし、意見交換をしています。では、どうしたら悪い不適格業者を見分けるかです。まとめてみます。

  • 作業員や社員の実務経験を聞いてみる。即答出来ない場合は外注です。外注がだめと行ってはいませんが、何か施工不良があった場合に処理が迅速に行えない場合も多いです。(といってもコーティング業者の大半が取り次ぎ販売店で社員を雇って直営でやっている会社は片手の数も関西ではいないと思います。)
  • 作業工程を説明してもらう。もしくは施工要項を提出させる。脱脂やサンディングを行っているか、プライマーを使っているかどうか。塗料はどこの製品か。(中国塗料、イサムが有名)リプロはオリジナルに近いので前記の2社ではありませんが、日本で唯一フォースターという塗料の最高基準をとっています。(ホルムアルデヒドや有害物質はほぼ0です。)
  • 施工経歴を見せてもらう。(これも難しいです。というのも施工経歴や施工写真を他社のHPから盗んでいる場合もあります。僕自身、自分の会社の施工写真を他社のHPで使われているのをこの目で見ました。)それでも、施工経験や会社の営業年数は信用に値します。
  • 浴室コーティングに特化しているか、お風呂の専門業者が望ましいです。裏返して言えば兼業はすべて外注と思って間違いないです。(例をあげればハウスクリーニングや畳屋さんで商材として扱っています。商材を多く持って利益を増やしたいだけで仕事の内容は外注ですので全く解っていません。)

今、現在の僕の頭の中ではこれくらいしか思いつきません。がこれを書くきっかけは決してリプロとして仕事が欲しいとかではなく、施工不良で困っている方を見るたびにあまりのひどさに書かずにはおれない点です。今回も上記のオーナー様にどうしたら良いか悪いか見極められますか?と聞かれたのがきっかけです。仕事をした直後では区別はほぼつきません。これが一番厄介なことなんです。将来、コーティング教協会を立ち上げて同業者で技術を高められたら最高だと思います。皆の地位の向上にもなります。その時が来るまで止まることは出来ません。